自転車保険が注目されるようになった背景をご紹介します

自転車事故と自転車保険

自転車事故と自転車保険

自転車対歩行者の事故件数が上昇

最近注目されている自転車保険ですが、ここまで注目される背景にはどのようなものがあるのでしょうか?

2000年以降、自転車における事故の総数はゆるやかに減少しているのが分かります。ただしこれは自動車と自転車などを含めた自転車事故全体の交通事故に占める割合としては減少していますが、自転車対歩行者といった対人の事故件数は上昇していることが挙げられます。

自転車は自動車に比べて人間との衝突時の殺傷能力は小さいものと見られがちですが、自転車もロードバイクやクロスバイクともなると時速20km~30kmまで走ることができます。死亡事故や重大な傷害事故に陥ることも少なくなく、その結果の重大性を捉えて裁判で高額の賠償命令が加害者に言い渡されるケースが多くなりました。

そのときに個人責任賠償などの保険に加入していないとその賠償金を支払うことができなくなってしまいます。そこで台頭してきたのが、個人責任賠償保険とセットになった自転車保険です。個人責任賠償保険とは、被害者に意図なく死亡させたり、重大な障害を負わせてしまったときに支払わなければならない賠償金を賄うための保険です。

2013年に男子高校生が自転車を走行中、女性に衝突してしまい、女性は意識が戻らない状態になってしまった自転車事故に対して9500万円を超える賠償命令が言い渡されています。
その他にも5000万円~1億円程度の賠償命令はこの数年の間に相次いで報告されています。

このようなケースに対応する個人責任賠償の金額は、1億円単位のものになってきます。また賠償金が1億円を超える可能性も否定できないため、高額な責任賠償保険が用意できる自転車保険が人気を集めています。

自転車死亡事故の犠牲者の多くが高齢者

■自動車事故よりリスクが小さいとはいえない

このように自転車保険が注目されるようになってきたもう一つの背景に、高齢者社会が本格的になってきていることも挙げられます。自転車事故で負傷する年齢層の割合は、70歳以上にも多いですが、若年層の方が多い傾向があります。しかし自転車事故の死亡事故の犠牲者となるのは、大変は70歳以上の高齢者です。高齢者の場合、自転車にぶつかってケガをしてしまうと致命傷を負ってしまうリスクも若年層に比べて高くなるので、人口構造が高齢者に多い現在の社会においては自転車事故による深刻な事故の危険性というものは非常に高いものとなっています。

また自転車という車両が交通事故の深刻なリスクを抱えているにも関わらず、交通ルールが厳密に守られていないという状況を変えていこうという時代の流れもあるようです。自転車の交通ルールはあっても、それを軽視しても許される傾向が強かったために道路を走るすべての車両の中でもっとも無法な運転をするのが自転車でした。

自転車は自動車よりも気軽に乗ることのできる乗り物です。しかし事故に至った場合に起こるリスクは自動車事故のリスクよりも小さいとは言い難いものがあります。
もっとも深刻な事故として他人を傷つけたり、死亡させてしまったり、器物損壊の可能性だったり、また自分がケガをしてしまう可能性が多分にあります。
そういったときの保険として加入する自転車保険が注目されるようになったのも自転車という乗り物に対する意識が少しずつ変わってきたからということができます。

特に注意しておかなければならないのは自転車は自動車と違い自賠責保険のような強制的に保険に加入する制度がありません。実際に相手を被害を与える事故を起こしてしまったけれど、賠償するお金がどこからも出ないということがないように自転車保険に加入しておくことは非常に大切なことだと思います。

また個人責任賠償保険に加入していない可能性の高い高校生や学生などの自転車をよく利用する年齢層はより一層自転車保険に加入しておくことが求められています。